北上ウオッチ

2017年9月11日

【特別編・㈱佐藤政行種苗〜松浦社長インタビュー】

皆さま、こんにちは!
きたかみチョイスで企画・マーケティングを担当しておりますカノと申します。

ビールの最高のおとも【えだまめ】今年の枝豆はちょっと特別なものを召し上がってみませんか?
北上市のふるさと納税の返礼品として大変人気のある【秘伝枝豆】、通常の枝豆より収穫期が
遅い晩生の枝豆ですが、種まきの様子を見に伺ったところ、種がとってもキレイな色。大変
興味が湧き、ご紹介を経て、種のメーカーである㈱佐藤政行種苗 松浦社長にお話を伺って
参りました。

秘伝枝豆の入手はこちらから

◆秘伝枝豆
https://www.furusato-tax.jp/japan/prefecture/item_detail/03206/286205

■種も仕掛けもない種はない


㈱佐藤政行種苗 代表取締役 松浦 健一社長

まずは、(株)佐藤政行種苗をご紹介
明治41年に初代佐藤政行さんが現在の同社日詰営業所(紫波郡日詰)において創業。紫波郡、稗貫郡、
江刺市などへ種の小売販売を始めます。昭和41年に2代目社長・佐藤源治さんが(有)佐藤政行種苗と
法人化。昭和49年に現在の盛岡卸センター内に社屋と倉庫を建設。昭和51年に移転し現在は本社の他、
日詰営業所、水沢営業所、山田出張所、ビニール加工場、農場、バイオ研究所と岩手県内各地で事業を
展開しています。

鹿)実は、私の実家でも枝豆を出荷しているんです。でも、恥ずかしながら種って見たことがなくて。北上で
秘伝枝豆の種まきに伺って、瑠璃色のキレイな種を見て驚いたんです。

松浦社長)こちらは(下の写真)食用の秘伝豆と秘伝豆を微粉状にした加工品ですが、秘伝のタネは本来写真の様
に素朴な自然色ですよ。

鹿)あの瑠璃色の種はどうしてあのような色なのですか?

松浦社長)コーティング種子といって、殺菌剤や着色剤を加えた水溶性ポリマー液で種を粉衣(ふんい)したのもです。
発芽時の病害防除効果があります。

松浦社長)皆さんはタネを買って播いたとして、どれ位発芽したら満足するでしょうかね。

鹿)出来たら100%出て欲しいです。

松浦社長)当然ですよね。しかしタネは、機械製品やパソコンなどの様に100%全て同じと言うのは難しい
のです。なぜならタネは生き物だからです。一粒一粒にそれぞれ命があるのです。強い者もあれば弱い者
もある訳です。
メーカーの出荷時点では、より100%に近いもの出しておりますが、種の容器類には一般的に85%の表示を
しております。つまり85%は責任を持つと言う意味です。只、使用する時期や場所、天候など自然条件により
左右される事もありその場合はご容赦を願っております。

本来のタネの蒔き方としては通常1か所に2~3粒のタネを播く。その種は競うように発芽するので、
その中の丈夫そうな物、元気な物を一つ残しそれ以外の物は抜き取る。(これを間引きと言います)
この一つを、時には枝を切り、時には殺虫剤を散布、或は土寄せ等々をして植物を育てる。これが専門となれば
農業となる。

100個のタネで100個の発芽を要求する工業的なものが最近よく言われるアグリビジネスとすれば、
一方では雨、風、太陽の光、気温等々自然界の空気をたっぷり浴びてのびのび育つのがアグリカルチャーでは
ないでしょうか。
そこで採れた農作物は自然の恵みであり自然界に感謝しなければならないと思います。神社や仏閣の感謝を
ささげる農作物の奉納こそがカルチャー≪文化≫と私は考えております。つまり、農業=アグリカルチャーと思って
います。

秘伝枝豆の種は、会社ホームページの沿革をみたところ、平成元年には発売されていたことが
分かります。そのあたりを伺ってみました。

■種が残るということ

鹿)北上市のふるさと納税の返礼品として秘伝枝豆が大変人気があります。粒の大きさ、形、味、香り、どれを
とっても大変おいしい枝豆だと思うのですが、どのようにして生まれたのですか?

松浦社長)約20年前までは「南部かおり豆」とか「におい豆」と言う品種が主力でした。只、この豆は栽培に
当たり病気に弱く収量も少なく作る人も困っておりました。そこで「病気に強く風味のある大莢の豆」を目指して
育種されたのが秘伝豆です。

話は変わりますが、今ある野菜や穀物はどうして残っていると思いますか?

鹿)えっと、美味しくて育て易いって事ですか?

松浦社長)ハイ、その通りです。美味しいから今でも残っているのです。美味しくなければ淘汰されて行くはず
です。その意味で秘伝はこれからも続くと思います。

秘伝豆は晩生種だけれども、農産物で美味しいものは大概が晩生種です。早生種には美味しいものは少ないと思います。
リンゴだって晩生種は密も多く虫も付きます。大体において虫も着かない物に美味しいものはありません。 虫が食べる
くらい美味しい訳です。

鹿)そうですね。女性もそうですかね?

松浦社長)ははっ(笑)、
晩生品種はゆっくり沢山太陽の光を浴びて光合成に時間をかけてデンプンを作って行くから美味しいんです。
その原理で秘伝豆は香りがよく、粒は大きいし、食べて甘みがあるでしょ。しかも2粒莢が多いと言う事は、
美味しさがギュッと詰まっていると言う事です。

種に国境なし

鹿)秘伝枝豆の人気はどうですか?

松浦社長)弊社で扱っている豆の中でもナンバーワンですね。

鹿)岩手での作付け面積が少ないのはちょっと寂しい気がします。先日、東京青山の
Farmer’s Marketに行った時、この秘伝枝豆が”山形の豆”として売られていたんですよね。

松浦社長)さっきも話しましたが、秘伝豆は岩手の佐藤政行種苗生まれですが、タネには国境は有りません。
山形県の人は弊社の農場に良く来られ、人づてで秘伝豆の良さが伝わった様です。

秘伝枝豆は晩生種なので岩手では9月下旬から10月初めの収穫期になります。実は岩手ではその頃、
丁度稲刈りシーズンで枝豆は受け入れられなかった。しかし山形県では視点が違っており、いずれコメが
余り、減反時代が来ることを想定して枝豆でも大豆でも収穫できる秘伝豆に注目していたわけです。

ここが文化の違いと言うか山形県人の直観力の凄さですね。一つの物をいろいろな角度から展開する
その発想力もすごい。

ちなみに山形県と言うと「だだちゃ豆」が有名だけど、その種も実は弊社から行っているんですよ。ほら、
この「庄内5号」と言う品種はだだちゃ豆の中でも最も美味しいと言われている豆の一つですよ。

鹿) あっ、そうなんですか。岩手県産だったんだですね。

さっきも言ったけど、タネには国境はないっていう事です。例えば山形の鶴岡の人が新潟へお嫁さんに
行ったとして、その時にだだちゃ豆の種を持たせたかもしれない。それが新潟では黒崎茶豆となっている
可能性もある。地元では美味しければその地で後世に残って行く。これが文化と言う事かも知れない。

種を保管する

鹿)種を長期間保存する施設があると聞いたことがあるのですが?

松浦社長)弊社にもあります。低温で且つ乾燥設備をしている倉庫です。災害などの緊急時にタネが
無ければ食料生産が出来ません。その様な時に最優先で提供できるように全国40か所に緊急用
として分散保管しています。我々の業界が自主的に保管しているものですが、弊社では「牛蒡」と「インゲン」
を保管しております。

鹿)何年か1度入れ替えをするのですか?

松浦社長)タネが採れない年もありますが、毎年入れ替えております。一般には見えませんが陰で国に協力
しております。

■これが秘伝枝豆の大豆バージョン

ここでちょっとおやつタイム。秘伝枝豆の煮豆をいただきました。

松浦社長)秘伝大豆を夜にマメの倍くらいの水に浸して(約8時間)置く。翌朝、鍋で約12~13分茹でた
ところで一粒かじってみる。コリコリ感の中にも青臭みが消えたら出来上がり。そのままザルに移しすぐにも
食べられます。晩酌のお摘みには最適、冷蔵庫で1週間位は持つ。
この他にも既に豆乳、納豆、豆腐、みそ、醤油などいくつかの商品はでてきていますが、お菓子の分野が少なく
考案中です。

鹿)(写真奥)コレはいわゆる<きなこ>ですか?

松浦社長)きな粉は豆を炒って潰したものですが、これは特殊な機械で豆を高温(アルファー化)にして
それをすり潰したもので、良く米粉とかライスミルクと言われるものと同じ原理で作ったものです。少し甘く
なるのでパンやお菓子の原料になるのではと期待しております。

鹿)大豆粉ですね。事前にお話させていたんですけど、息子が食物アレルギーで私実際、大豆粉を使って
料理したことあるんです。

色々な料理にも応用できればいいと思います。例えば、この粉にお湯を注げば豆乳、豆パンは学校や
施設の給食、あるいは和菓子の原料などに良いのではないかと思っております。チャンスがあれば秘伝豆
を使った6次化産業なる「秘伝豆研究会」を作りたいと思っております。

八幡平市安代の「ふうせつ花」さんの秘伝豆腐は余りにも有名、同じく糀屋「もとみや」さんの秘伝味噌、
盛岡の「浅沼醤油店」さんの秘伝醤油、「大内商店」さんの秘伝納豆、前沢の「きくや」さんのそふとサブレ
にも秘伝豆が使われております。

松浦社長)少しずつ加工品として商品化されてはいるけれど、まだまだですね。

鹿)私、息子の食物アレルギーで米粉も多く利用するんですけど、米粉だと<製菓用><調理用>と2種類
あって<製菓用>はより微粒な感じがします。大豆粉もそれに近いような気がするんですが。

松浦社長)最終的には、クリープみたいに溶けるような大豆粉にしたいなと思うんだけど。日本中のスターバックス
で使われるような豆乳製品にできたらいいんですけどね。(笑)

■松浦社長、本を持って来て下さいました


鹿)松浦社長、もしかして、社長が書かれた本ですか?

松浦社長)ちょっとコレ読んでみて。

春、夏、秋、冬と4つに分類されて食物について書かれた書籍を読ませて頂きました。
松浦社長は、矢巾のタウン誌に長年に渡りコラムを寄稿され、その集大成として書籍
にされたとのこと。ユーモアを交えながら書かれたその書籍、いっきに読み終えました。
松浦社長曰く、「胃にもたれない本だから大丈夫!」

豆や種に対する愛着は誰にも負けないくらいもっているつもりとおっしゃる松浦社長、
最後に松浦方程式を教えて下さいました。

種+農+食=健康

一番大切なのは、人の健康、そして、食べ物を大事にする心、カルチャーとしての農業を
これからも種から支えていきたいと思います。   ㈱佐藤政行種苗 代表取締役 松浦 健一

聞き手:きたかみチョイス 企画・マーケティング 鹿野真貴子
カメラマン:吉原優介

秘伝枝豆の入手はこちらから

◆秘伝枝豆
https://www.furusato-tax.jp/japan/prefecture/item_detail/03206/286205

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